マネジメントは必要なし?!マネジメントよりも重要な2つのこと〜ハフポストインタビュー〜

成長するには、マネジメントよりも重要なことがある

「目の前の仕事に追われ、満足のいくマネジメントができていない」
「メンバーを成長させるには、しっかりとしたマネジメントが必要だ」

そう考えるリーダーは多くいます。しかしメンバーを成長させるためには、マネジメントは必要ないかもしれません。

メンバーが成長するには、何が必要なのか。若手が力を発揮するチームにその答えがありました。若手スタッフの成長により、多くの企画が誕生しユーザーを獲得しているハフポスト。ハフポスト日本版編集長竹下さん、ブログエディター井土さんへのインビューから見えてきたマネジメントよりも重要な2つのことについてお届けします。
※内容は2017年11月インタビュー当時のものになります。

ハフポスト

あなたのコトバが、未来をつくる。政治やビジネス、社会情勢などを分かりやすく整理し、各分野の専門家や有識者と個人が意見をやり取りできるソーシャルニュース。ハフポスト日本版は朝日新聞社との合弁事業。


ハフポスト日本版編集長:竹下 隆一郎さん
慶應義塾大学法学部卒。2002年朝日新聞社入社。経済部記者や新規事業開発を担う「メディアラボ」を経て、2014年〜2015年スタンフォード大学客員研究員。2016年5月から現職。「会話が生まれる」メディアをめざす。


ハフポスト日本版ブログエディター::井土 亜梨沙さん
一橋大学卒業。森ビルで2年間まちづくりにたずさわりハフポストへ転職。未経験からスタートし、短期間で約1200人のブロガーをまとめるまでに成長。「Ladies Be Open」のプロジェクトを立ち上げ、女性のカラダにまつわる様々な情報を発信している。

 

未経験から、1200人のブロガーをまとめるまで


出典:3331 Arts Chiyoda
ハフポスト日本版オフィスは小学校をリノベーションした3331 Arts Chiyodaにある。

佐藤

本日は、お忙しい中お時間いただいてありがとうございます。先日、CEOである崎川さんから若手メンバーが入ってすごく面白くなったとお伺いしました。ブログエディター井土さん、彼女を採用した編集長竹下さんを通して、その秘密を探っていけたらと思います。井土さんはどのような経緯でハフポストにはいられたのでしょうか。
新卒で不動産デベロッパーに入社し、土地を買う仕事をしていました。その当時は、ユーザーとしてハフポストの記事を読んでいました。仕事で大変だったときや生き辛い時に、記事を読んでハッピーになったり、生きやすくなったりするなと感じていたんです。だんだんと「そういうコンテンツを生み出す組織は、どうなっているのか」という興味が湧いてきて、試しに履歴書を送ったら採用されました。

井土様

彼女を採用決定した理由は、2つあります。彼女の価値観や考え方がすごいハフポストにあっていたことがひとつ。もうひとつは、ジャーナリズム以外の業界から人を入れることで、ハフポストもまた更に新しく変わっていくんじゃないかっていう期待がありました

竹下様

実は、入社してすぐはオフィスで飛び交う会話があまりにも高尚で、会話に入ることすらできませんでした。なので、自分がしゃべることが恥ずかしくなる、オフィスにいることができないと感じていました。今は女性の方が男性より多くなり、若いメンバーも増えて、雰囲気はかなり変わりました。

井土様

佐藤

そんな状態から、今では企画も立ち上げ、1200人のブロガーさんたちをまとめてますよね。そこまでどうやってステップアップしていったんですか?

今でも目の前のことに必死なんですが・・。大きなきっかけはイタリア出張だと思います。グローバルサミットという17か国のハフポストの編集部員が集まるサミットがあり、そこに竹下と一緒に行ったことで視野が広がりました。各国の編集部員が本当に「明日を良くしよう」と前向きに考えていて、背中を押されました自分はまだ何もできないけれど。私なりに出来ることはないのか」そこで本当に頭が切り替わりました

井土様

佐藤

目の前の事をやっていくのに必死だった時に、視野が広がったんですね。

はい。当時はとにかく間違えを犯しちゃいけないと思っていました。でもこのイタリア出張で、由な組織風土を目の当たりにしたことで、ブロガーさんの為に何が出来るかという事を考えるようになりました

井土様

信頼して任せたことで企画が生まれる

生理用ナプキンが女の子たちの人生を変えている。写真家がマラウイで撮った、未来への一歩(画像)

出典:Ladies Be Openの記事より/マラウイの再利用可能な生理用ナプキン(写真:JULIA GUNTHER)

 

私はジャーナリズムも社内の高尚な話も全然ついていけいない。おこがましい言い方かもしれないですけど、だからこそ読者に一番近い存在であることが自分の強みなのかなと思いました女性として日々暮らしの中で問題になっていることや女性の体にまつわることで、発信していきたいと思ったんです。そしてイタリアから帰国してLadies Be Open※という企画を立ち上げました。

井土様

※ハフポストの女性のカラダをテーマにした特集企画。女性のカラダにまつわる情報を発信し、話しやすい環境を作ることで、女性がカラダについて知るきっかけを作り、カラダと向き合うことの大切さを伝えている。

佐藤

企画を立ち上げ進めていく上で、自分が変わったなと感じることはありましたか?

いちばんの変化は、(イベントや企画を進めていく際に)ブロガーさんを巻き込むようになりましたね。これからは、巻き込む流れをもっと大きな大きい輪に広げながら、ムーブメントを作れるようになりたいと思っています

井土様

 

佐藤

全くの未経験者から短期間で、企画を立ち上げ1200人のブロガーをまとめるという急成長を遂げた井土さん。竹下さんは具体的にはどんなマネジメントをしていたのでしょうか。

マネジメント(管理)することはなく、彼女に任せていましたね彼女は取材する際に、Facebookで連絡を取ったり、スカイプでインタビューをしていたんです。それは自分が理想としていた取材スタイルでした。私自身、キャリアを通して必ずしも人っていうのは直接会う必要はないんじゃないかと思っていました。それをさらっと彼女はやってくれたので、すごく自分の理想と近い動き方をしてるなと思ったんです。

竹下様

否定される側の気持ちを覚えているから「否定しない」

出典:ハフポスト日本版 社内の様子 異業種からの転職も多い

 

組織には良い伝統もあるし、良くない伝統もある。変えるべき伝統をいざ変えようとすると、自分だけじゃ難しいと感じていました。でも他の業界から来た彼女が(取材は必ず対面でしなければいけないという伝統を変えて)オンラインで取材するということをさらっとやってくれた。

竹下様

 

佐藤

現場では、アイディアがあっても実行までできないことの方が多いと思います。井土さんの実行力ももちろん素晴らしい。それと同時に「良し」とする組織風土がすごいと感じました。ハフポストでは、アイディアを形にする際に、特に気を付けてる事はあるのでしょうか?

 

そうですね。私自身は、自分の中の「少年っぽさ」はすごい大事にしています。少し嫌な思いをした、少し弱い自分、戸惑ってしまう自分。そういった子供っぽさを維持をするようにしてます。あとは、「否定しない」というのはハフポストの風土としてありますね。

竹下様

入社して一番驚いたことは、「自分が言ったことに対して誰も否定しない」。何かアイデアを出したりとか、サジェスチョンをした時に対して「あ、それいいんじゃない?サポートはちゃんとするから」っていう文化なんですよね。誰でも否定されると、次のアイデアを出す時にためらってしまうと思うんです。経験もない中で、否定が重なると「自分なんて価値もない人間なんだ」って感じてしまうこともあると思うんです。でも否定されない文化がある事で、「次こういう事があったらすぐ話してみよう」と組織の中ですごい良い循環が出来るんです

井土様

佐藤

「否定しないこと」が重要だとわかっていても、実際に実務レベルでできている組織はかなり少ないですよね。日々のコミュニケーションの中で実践できているのは何かコツみたいなものはあるんですか?
そうですね。立場が変わっても否定の経験を忘れないことですかね。「否定」の濃度は、否定する側と否定を受け止める側で違うんですよね。立場が偉くなれば偉くなるほど、否定を言うのは結構簡単なんです。言った方はすぐに忘れるんですけどね。でも「駄目だよ」って否定された側は、場合によっては一年間続くぐらいのインパクトになってしまう。言った方は忘れてるかもしれないし、一瞬の「駄目なんじゃないかな?」ぐらいのコミュニケーションのつもりなのに、聞き手にとっては一年二年続くこともある。否定が重なると相手は「あの人は絶対に言えない」とか「この会社で生きていけない」みたいなことになるそれくらい(否定をする側、受け止める側に)ギャップがあることを、自分が新人のときから気がついていました。

竹下様

 

佐藤

否定されることのインパクトを、竹下さんの少年的感覚が敏感にキャッチしていていたんですね。
そうですね。私自身も「NO」と言われたことは沢山あります。でもだんだんと「NO」のインパクトを忘れてしまい「NO」を連発し始めてしまう。だから自分は「NO」の密度は、今どれぐらいのレベルで発してるのかは気をつけていますね。今の私の立場で「NO」というと聞き手は重く受け取ってしまうので、そこは細心の注意を払っています。

竹下様

佐藤

普通は、立場がかわりそれなりに経験が重なると(否定される側の)感覚は忘れていきますよね。
私は結構ネチネチしてるんで(笑)全部覚えてます。例えば、小学生の時に先生に怒られて嫌な思いをしたことも、その日の天気やどんな言葉だったかもクリアに覚えています。今の立場であっても、冷凍保存をしたその時の感覚を解凍して思い出すことができます

竹下様

介入はしない、サポートはする。場数で能力はあがる

左井土さん_中央筆者_右ハフポスト日本版CEO崎川さん

 

佐藤

女性はアイデアを出すことはできるが、実務レベルに落とし込んで実行はすることは苦手だといった声をよく聞きますが、竹下さん自身はその意見をどう思いますか?
性別は本当に関係ないと思いますね。「女性の方が苦手だ」と一般的にいわれてると思うんですが、それは単にそういうチャンスが(女性に)足りてないだけに過ぎないと思います男女の根本的な差ではなくて、単なる社会構造の問題だと思います

竹下様

佐藤

場数が少ないから、経験値が蓄積されない。だから能力も上がりにくい経験値を積むことが重要だと思うのですが、実際の現場ではどこまでサポートすればいいのか戸惑うリーダーも多くいます。竹下さんはサポート入る際に特に気をつけていることはありますか? 

 

私自身は、社内社外の「おじさん的価値観」が入ってこないことを特に気をつけています。ハフポストの記事は、様々な媒体に掲載されるので場合によっては社外の人から慣習的に(記事の中にある)この言葉は使わないでほしいといった「No」を突きつけられることがあります。社外から「No」が入ってしまうと、企画だした本人には大きなプレッシャーになるので、そこは自分が(企画した人間を)守るぞという意識は強いかもしれませんね。

竹下様

佐藤

「サポートのつもりが、相手に介入しすぎて疎まれてしまう。介入しないようにそっとしたら放置されたと思われる。」育成の場面では相手との距離感が課題になることが多いです。しかし竹下さんのように、信頼がベースにあり「本人が背負わなくていいものは、防波堤になって守るそういったサポートは、恩着せがましいところがなくメンバー自身がすごくやりやすいのではないでしょうか。井戸さん自身はそういったサポートの仕方をどう感じていますか?
すごくやりやすいです。竹下だけでなく、(ハフポストの)組織全体が男女で役割分担をつけないようにして仕事をしている感じがします。女性だから女性の話しかできないとか、男性だから男性の話しかできないとか、女性の話は入らないみたいなことはないですね。「(立場に関係なく)誰もがそのことについて考える、話すことが出来る」そういう組織風土が一番望ましいですよね。

井土様

立場が違っても「分かり合える」ことがある

出典:ハフポスト日本版 

 

佐藤

(業界の常識のような)今まで正しいとされているものに対して、違う事をしようとすると少なからず葛藤が生まれると思います。竹下さん自身は、リーダーとして葛藤はどう乗り越えているんですか?
自分がやっていることは今までの新聞とかテレビとか違う事をやっている、前例はないという点で葛藤することはあります。でもその葛藤を乗り越えるという感覚はないですね。そもそも価値観というのは、色んな葛藤を経て出来たものですよね。ジャーナリズムも形が変わるものだとわかっていれば、今の価値観が絶対ではないと気がつきます。

竹下様

佐藤

ジャーナリズムという分野で考えた時に)今自分が抱えてる葛藤はあって当たり前。乗り越えるのではなく受容しているんですね。
葛藤とは少し話がずれるかもしれませんが、誰でも少なからず嫌な思いをしたことはありますよねでも立場が変わるとその感覚をどっかで忘れてしまう。メンバーとはその感覚を忘れずにいつも思い出そうねと伝えています。そうすることで立場が違っても「分かり合えること」があると思うんです。

竹下様

私自身、ハフポストの否定されないボーダレスな環境を経験したことで、きっと誰でも話し合えば分かると思えるようになりましたね。

井土様

 

気を散らすことが組織の力を強くする

出典:ハフポスト日本版LGBTQ特集

 

佐藤

若手の成長によってユニークな企画が立ち上がっていくハフポスト日本版。今後はどのようにメンバーの能力を伸ばしていこうと竹下さんは考えていらっしゃいますか?
能力を伸ばすには気を散らす環境が重要かなと思っています。組織としては「色んな人がいて気が散っている状態」が良いんですよね。日本は今やっと男女の差を乗り越えようとしていますが、世の中にはまだまだ多くの「差」があります。そのバラバラな価値観をどう(ハフポストに)盛り込んでいいくのかが重要になってきます。そうなると、ひとりでこもって何かをするよりも、いろんな人が周りにいて自分の気が散ってた方が、より広い視野を持つことができると思うんです

竹下様

 

佐藤

井土さん自身は、(経験数が少ないときに)成長していくにはどのような環境が重要だと思いますか
方を付ける事だと思います。私ひとりでは、ここまでできなかったと思います。本当は「自分でやりました」っていうのがかっこいいとは思います。実際には、上司の支えや「No」ノーと言わない組織風土があったからここまでできたと思っています。組織の中で「この人は絶対だ」という味方をつけておくというのは、大きいかなと思います。

井土様

佐藤

組織風土は、いきなり変えることは難しいかもしれません。まずは「否定しない存在」誰か味方を付けることが重要なんですね。最後に竹下さんからリーダーとして、ポテンシャルのある子をつぶさない為に気を付けた方がいいことはありますか?
とにかくまずは「面白がること」だと思うんですよね。自分とは違う人がいた方が、絶対に組織は面白くなる正しいかどうかよりも、面白いか面白くないかでまず相手と向きあうと良いと思います。

竹下様

佐藤

マネジメントよりも「相手を否定しない、適度な距離感でサポートをする」そうすることで人はしっかり成長していくんですね。おふたりとも、お忙しい中本当にどうもありがとうございました!!

 

まとめ

全体を調整するCEO崎川さん、新しいうねりを生み出そうとする編集長竹下さん、読者に一番近い存在として発信を続ける井土さん。

ハフポストでは、立場もバックグラウンドも違う人々がパズルのピースのように重なり合うことで、コンテンツや企画が生まれていました。企業文化を変えていくことは一朝一夕にはできません。しかし、「違いを面白がる、否定しない、介入ではなくサポートをする」といったことで、自然と成長できる環境はつくることができるかもしれません。日々のコミュニケーションひとつで相手の可能性を伸ばすことも潰すこともできてしまいます。

マネジメントの方法論に振り回されるよりも、

・相手を否定しない

・介入でも放置でもない、適度な距離感でサポートをする

この2つがあれば、人は自然と成長していくことができます。
ぜひ明日から意識してみてはいかがでしょうか。

 

右腕では、組織に合わせた育成の仕組みづくりをサポートしています。

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