曖昧な指示、経験則で解決はできない【数値化】できると成果が上がる

数値化できないと問題は解決できない

 

曖昧な指示をやめれば、仕事効率はあがる

仕事を進める際に、こんな指示をしていませんか?

「明日の会議は、いつもより少し早めにスタートします。参加者が増えたので、資料を多めに用意して渡しておいて」

一見何の問題もない指示のように聞こえますが、指示を受けたメンバーが実際に行動に移そうとした際に以下のような懸念が浮かぶのではないでしょうか。

「少し早め」

いつもの会議開始時間より5分前なのか、30分前なのか、1時間前なのか

「参加者が増えた」

何人増えたのか、参加者の中に重要人物はいないのか

「資料を多めに」

増えた参加人数分なのか、予備も含めた数なのか

 

「用意して渡しておいて」
いつまでに誰に用意し渡せばいいのか

指示を受けて返事はしたものの、いざ用意しようと作業をしはじめたら、指示をだした当人に何度も確認をするというといったことが起きがちです。 あなたの組織でもこのような曖昧指示が原因で、無駄な作業が発生していませんか。 指示を出した方は「自分でやった方がはやかった・・・」と感じ、指示を受けた方は「指示するならわかるように伝えて欲しい」と内心思っているのではないでしょうか。

では、上記の指示が以下のようだったらいかがでしょうか。

「明日の会議は、通常13:00開始のところ、10分早め12:50にスタートします。参加者が3名増えたので、資料を3名分多く全部で23部印刷しホチキス留めで用意しておいてください。資料は本日の18:00時までに印刷し、担当の〇〇さんに渡しておいてください。」

会話に具体的な数字が追加されたことで、指示された側は、いつまでに何をどれくらいやればいいのかが一気に明確になったのではないでしょうか曖昧な会話が当たり前の組織では、コミュニケーションコストが重なり(確認作業、認識のずれ、必要のない作業等が発生)作業効率も下がりがちです 「テキトーにやっておいて!」「いい感じでお願い!」上司やリーダーがこのような会話をしていたら要注意、部下に任せることと放任や丸投げを履き違え現場を混乱させることになります。

曖昧な指示は現場を混乱させる

ビジネスパーソンを対象にした調査データからも、「仕事上のゴールを明確に示して、適切な指示・指導が行えること」はリーダーにとって重要な資質であることがわかります。

出典:アトラシアン株式会社 2018年6月調査

 

成すべきことを(明確なゴールと目的を持ち)わかりやすく示すことができる能力の高さが最も重要とされます。曖昧な指示はリーダーとしての資質を疑われる要因になります。

かたやリーダー自身も、メンバーの曖昧な回答に困惑することもあるのではないでしょうか。

「業務量が多くてきついんです」
「この案件難しくて受注できるか微妙です」
「そのタスクは急ぎめで今やっています」

このような回答に対し「何をどうしてほしんだろうか。忙しい中でこちらから情報を確認しないといけないのか。手間がかかる。」というのがリーダーの本音ではないでしょうか。

このような報告や相談が定量的であれば、上司の対応も変わります。

「問い合わせ対応が先月より1.5倍に増え、一人で対応するために毎日2時間残業せざるおえない状態です。一人で対応するのは限界を感じています。」

 

「この案件は、3ヶ月かかりやっと提案の機会を得ました。しかし弊社には参考事例が少なく、提案が採用され受注できる可能性は40%です。」

 

「そのタスクは、1時間以内にとりかかります。作業時間は20分程度です。ですので2時間後には確実に回答できます。」

あいまいな言葉(きつい、微妙、難しい、急ぎめ)を数値化することで、一気に会話がわかりやすくなったのではないでしょうか。

 

数値化できないとどうなるのか

曖昧な会話が日常化している組織では、以下のようなトラブルが頻発します。

・作業効率の低下
・タスクが納期通りに完了しない
・顧客取引先からクレームが発生する

さらにこういった組織では、目標設定、目標に対しての進捗、査定評価といった経営に関わる事も数値化されていない傾向があります。 そのような組織では、意思決定のプロセスがわかりにくくなるため、「頑張っているのに、評価されていない」「目標設定に納得がいかない」などメンバーが不満をかかえやすい状態になります。 物事を数値に置き換え定量的に把握できなければ、取引先、顧客からクレームが発生しやすい状態になり、現場には大きな負担がのしかかります。経営の方向性もブレやすく不満が蓄積しメンバーが離脱しやすい組織になっていきます。

 

数値化する目的

数値化することは、経営においても非常に重要になります。企業は利益を確保していかなければ、存続はできません。何も考えず昨日と同じことをしていれば、現状維持さえ難しいはずです。 ビジネスパーソンは常に目標と現状のGAPを把握しこの差分を埋めていく必要があります。数値化できるようになれば、組織内のコミュニケーションが円滑になり、理想を現実にできる実行力のあるチームができあがるといっても過言ではありません。

 

数値化とはなにか

数値化とは、物事を数値に置き換えて定量的に判断することです。 ビジネスにおいては物事を数値に置き換ることで、課題を特定し、効果のある対応策を打つことができます。

経験則や感覚値で判断もできるんじゃないの? わざわざ数値に置き換えしなくても問題ないんじゃない?そんな風に感じる方もいるかもしれません。ビジネスにおける数値化の前に、 ダイエットを例に経験則や感覚値で取り組むAさんと数値化し取り組むBさんを比較してみましょう。

経験則や感覚値でダイエットに取り組むAさん

最近なんとなく太ってきた。 以前うまくいったような気がする豆腐ダイエットをまたやってみよう。 ジョギングも頑張ってやってみよう。自分は困難なときでも乗り越えられるから今回もうまくいく! そうすれば絶対にやせるに間違いない!

数値化しダイエットに取り組むBさん

この半年で3Kg増加した。 半年かけて3Kg減量し以前の体重に戻そう。 摂取カロリーより消費カロリーが上回れば痩せていく。 まずは、現在の摂取カロリーと消費カロリーを確認しよう。 その上で摂取カロリーを減らすために、無理のない範囲で食習慣を変えていこう。 継続可能な運動を取り入れていこう。1週間ごとに経過を確認して食習慣、運動習慣を見直しをして、一人ではできないときは専門家に相談してみよう

さて、AさんとBさんどちらがダイエットを確実に成功できるでしょうか。 おそらくAさんは一時的に体重は落ちるかもしれません。 しかし豆腐だけの食生活は精神的につらいでしょうし、体に支障がでてくるかもしれません。 ジョギングも3日間くらいはテンション高く続くかもしれませんが、1週間もすると忙しさを理由に走らなくなっているでしょう。 そして3ヶ月後くらいには挫折をしリバウントしている可能性があります。

かたやBさんは 適正な目標設定を行い(半年で3キロ)、現状を把握した上で(現在の消費摂取量) 継続可能な対策(生活の範囲内でとりくめる食生活、運動習慣の改善)を実行します。 1週間ごとに経過を観察し専門家にもアドバイスを求める姿勢でいます。 これなら、高い確率で「半年で3キロ」の減量が達成しそうですよね。

感覚や経験則を否定はしません。しかし、感覚や経験則だけでは、PDCAはまわせず(現状把握や適正な目標設定、課題と対策、改善)成功の確率は下がります

数値化できるチームと数値化できないチーム

続いてビジネスシーンに置き換えて、「経験則と感覚値チーム」と「数値化できるチーム」の違いを比べてみましょう。

例:売上があがらない新人営業に頭を悩ますチームリーダー

数値化できないチーム

うちの新人営業が売上が全然あがらなくてやばいんですよ。どうしたらいいですかね
それはまずいな。俺が新人の時は靴のかかとをすりつぶして顧客に挨拶していた。 それくらいやれば新規受注はできたし売上はあがったぞ

確かに、うちの新人の靴は全然減ってなかったですね!かかとをすりつぶして挨拶してこいと指示しておきます!

数値化できるチーム

3ヶ月前に入社した新人営業が、 3ヶ月目KPIである新規受注4件に対し、現地点で1件も新規受注ができていないんです。 指標である毎月のKDI(行動量目標)はクリアしています。 アポイント獲得件数も他の新人と同数です。 おそらく、受注確度の低いアポイントを設定しているか、 商談シナリオに問題がある可能性があると考えています。 今後は受注確度を見抜けているか確認するため獲得したアポイント内容の確認、 商談シナリオのロープレ練習で対策をしようと考えています。 対策に抜け漏れはありませんか?
そうだな。新規受注4件に対して指標であるKPIKDI(行動量目標)は適正になっているか確認をしておこう。 それと、商談相手のリサーチ方法を知らない可能性があるから事前準備をどうしているか確認したほうがいいな。 商談シナリオはロープレ練習とともに、シナリオの工程ごとになぜその質問をするのかどういう答えをひきだしたいのか目的を認識させたほうがいいかもしれないよ。

わかりました。目標新規受注4件をめざし、 今週中にKPIKDIの適正化、事前準備、獲得アポイントの内奥、商談シナリオの強化を対策として実行します。 2週間後に、KDI,KPI、KGI達成率を計測し経過を確認します!

いかがでしょうか。新人営業育成に悩む両チームですがどちらのチームが新規受注を達成できそうでしょうか。 現状を正確に把握しないまま、経験則のアドバイスを即実行するAチーム現状を定量的に把握し、各プロセスを分析し第3者の視点を取り入れ、課題特定したのち施策を実行するBチーム。 Aチームは気合いと根性でのりきり、偶発的に成果が出せるかもしれません。しかし成果を出し続ける可能性はかなり低いと言えます。 Bチームは各プロセスの改善をかさねることで、早々に成果を出す可能性が高いと言えます。 このように、経験則や個人の感覚に頼る組織は、偶発的で再現不可能な方法に頼ることになり成果が安定しません

 

数値化する方法

物事を数値化して会話ができない組織では、 日常的にコミュニケーションのずれが発生しやすく非効率的な状態に陥りがちです。 また問題に対しては、可能な限りの対策をすべて実行しようとするためメンバーの負担も大きくなります。 対策がたまたまうまくいけば、成果につながります。しかし成果を再現することはほぼ不可能です。 経験則、感覚だけで判断が下される組織は非常に危険と感じたはずです。 しかしいきなり、すべてを数値化するのは難易度が高い場合は、以下の手順で進めていくとスムーズです。

コミュニケーション

まずは、メンバーとコミュニケーションをとる際に「数値化」を意識してみましょう。 以下の2点をおさえることで数値化できるようになります。

1)曖昧な言葉をさけ具体的な数値に置き換える

形容詞は、人によって定義が曖昧です。具体的に伝えないと認識がずれてしまいます。

例:
すごく、たくさん、とても、かなり、極めて、大変、はるかに、すぐに、ときどき、たまに、しばらく、そこそこ、つまらない、危ない、大きい、小さい、高い、安い、低い、長い、短い、遅い、広い、狭い
 

2)指示語は具体的な数値や固有名詞に置き換える

正確に伝えるには、指示語を避け具体的に伝えることが大切です。
例:
こう、そう、どう 、この、その、あの、どの、こっち、そっち、こちら、そちら、あちら、ここ、そこ、どこ

3)5W1Hを入れる

Who(だれが)When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように) をいくら同じチームメイトだとしてもすべてを察することは不可能です。社外でも社内でも「面倒臭がらずに数値化していきましょう。

現状を正確に把握する

普段のコミュニケーションで「数値化」ができるようになったら、自身の抱える課題を「数値化」して解決していきましょう。まずは現状を「数値化」して把握する癖をつけてください。

自身の抱える課題を数値化できていない場合
「最近、仕事量が増えて忙しい。どうにかしたい。」

 

自身の抱える課題を数値化できている場合
「この1ヶ月顧客からのメール問い合わせ対応業務が、1.5倍に増えた。今までも1日3時間かかっていたが現在では4.5時間費やしている。しかし対応するのは一人のため稼働時間を増やすことで対応している。 この状態では、他の自身が体調を崩したり突発的な業務が発生したら対応ができなくなる可能性があるため対応策を検討したい。 」

問題を抱えた時は、現状を定量的に把握することが大切です。感覚値で判断せず、何がどれくらいどうなっているのかを定量的に把握しましょう。自身の置かれた状況を冷静に確認することが重要です。

理想の状態を明確にする

次に、理想の状態を「数値化」していきます。 具体的にどのような状態になれば、課題が解決できたのか。理想の状態(目標)を定量的に把握します。

理想の状態を数値化できていない場合
「仕事量がもっと減っていたい」

 

理想の状態を数値化できている場合
「まずは、3ヶ月後にで顧客からのメール問い合わせ対応に対応する時間を1日2時間までに圧縮し、さらに3ヶ月かけて自分以外でも対応できる体制をつくっておきたい。」

理想の状態はどうあるべきなのかを考えることで、対策を打つことができます。

 

現状と理想のGAP(差分)を明確にする

現状と理想が明確になったら、GAP(現状と理想の差分)を数値化していきます。 

 

GAPを数値化できていない場合

「仕事量が多くて忙しい、仕事量がもっと減っていたい。」 

数値化できていなければ、忙しい現実はいつまでたっても変わりません。

GAPを数値化できている場合

「現状4.5時間費やす問い合わせ対応を3ヶ月で2時間にする。 さらに3ヶ月かけて自分以外でも対応できるようにする」

 数値化できたことで、「問い合わせ業務を2.5時間減らすための対策」を考えればいいことが明確になりました。 さらに他のメンバーまたは外注化することで、自分以外でも対応できる体制をつくれるのではという仮説もたてることができます。 このように自身がやるべきことが明確になっていきます。 実際には、ここからさらに対策の検討〜実行〜改善と進んでいきます。 PDCAサイクルをまわすことで「理想の状態」に近づけていきます。

まとめ

数値化とは、物事を数値に置き換えて定量的に判断することです。 チームは、価値観や経験が異なる人間が集まっています。あなたの考えていること、感じていることがテレパシーのようにチーム全員に伝わるということはありえません。 数値に置き換えることで、社内社外のコミュニケーションがスムーズになり、さらに課題と対策を絞り込むことが可能になります。 数値に置き換えることを面倒くさがらずにぜひ明日から実践してみてくださいね。