事業を継続していると、ある時点から自力で解決することが難しくなる瞬間があります。「今までのやり方では新規獲得が難しくなってきた」「人を増やしても現場の問題が解決しない」「マネジメントまで手がまわらない」こういった問題がでてきたら自力解決が難しくなっている証拠です。解決できない時、多くの事業主や経営者は、何か(知識・経験・資金・人材といったもの)が足りないせいだと考えます。そのため可能な範囲で情報を集め、経験していそうな人に話をきいたり、予算をかけて専門家に依頼したり、採用をすすめて問題を解決へ立ち向かいます。こういったアプローチは無駄ではありませんが、徒労に終わるケースも少なくありません。
問題解決は現状把握からはじめる
問題に直面した際に、まず初めに行うことは「そもそもなぜ問題が解決できなくなっているのか」と自分達がおかれた状況を俯瞰すること。解決策(できると思われる対策を)いきなり実行に移すのではなく冷静に状況整理する必要があります。げんzした方がいいのではないかと考えるかもしれません。しかし現実にはかえって問題を増やしてしまうこともあります。現状を整理しないまま対策案をスピーディーに実行するとどうなってしまうのか、日常生活に置き換えて考えてみましょう。
あなたがある朝ベットで目を覚ますと、自分のお腹あたりに生暖かい感触がしていたとします。触ると、なま暖かくぬるっとした感触がしています。顔の上には何かがかぶさっていて呼吸がうまくできません。ちらっと見えた手のひらをみるとなにやら赤いものがべっとりとついています。さっきからあなたは全身にものすごい鈍痛を感じています。
現状把握をせずに施策実行するケース
あなたは、「腹部を鋭利な何かで刺されて、自分は大量に出血して激しい痛みに襲われている。呼吸もうまくできないし死ぬのかもしれない」と判断します。助けを求め大きな声を上げながら、床に落ちていたスマホを見つけ警察と救急車を呼びます。パニックになりながらベットの上は気がつくと赤い血らしきものでベトベトに。部屋中を駆け回ったため食器や本が散乱し家具に体をぶつけあざだらけになる。判断から実行(助けを呼ぶ)までスピーディにすすみましたが、結果として部屋の状態はかなり荒れることになりました。
現状把握から進めていくケース
同じ状況でも、自分の想像と思い込みではなく現状を把握するところからスタートし場合は、まずは顔の上にあるものを確認し、手についた赤いものの正体を特定します。その上で、ベットに横たわったまま体の状態をチェックします。「なぜ息苦しいのか・傷はあるのか・赤い物体は何か・そもそもなぜ寝ていたのにこんな状態になっているのか」と落ち着いて状況を整理していきます。冷静に状況を整理した結果、「赤いもの」の正体は大量のトマトソースであり、顔にかぶさっていたものは愛犬の豆柴。昨日、甥っ子の面倒を1日中見たおかげで全身が筋肉痛になっていた。疲れて作り置きのトマトソースのタッパーをしまわずにベットサイドにおいてしまった。愛犬が起こしにきた時に、タッパーを蹴り飛ばしたということがわかりました。そして原因はただの筋肉痛とトマトソースと愛犬。
現状把握をしなければ状況は悪化する
冷静に状況整理せずに行動した結果、近隣住民や救急車や警察といった外部をまきこみ、ベットけでなく部屋全体が荒れてしまい新たな怪我をしてしまいます。現実にはこんなことが発生することはありません。しかし事業においては「現状把握をせずに施策実行するケース」は多発します。そして即実行が重なると、次のトラブルも発生しやすくなります。結果として、最初の問題の原因がわからないまま対策に時間と予算をつかい悪循環にはまっていくことがあります。事業において今まで自分達で解決できたことが、なぜ(解決)できなくなってしまうのか。それは、問題の要因が複雑になっているからなのです。
今まで:問題A=要因1(要因1をとにかく解決すれば良い。目の前に敵がいて、素手でも銃でもナイフでもなんでもいからとにかく倒せばいいだけの状態です。極論、倒し続ける体力さえあればどうにかなります。)
事業フェーズが変化する:問題A=要因1,要因2,要因3,要因4・・・・・(ひとつの事象でも、複数の要因が関係する。さらに要因同士は癒着し絡み合う。それぞれの要因ごとに対策を考えて優先順位もつけて対応していかなければいいけません。敵は目の前ではなく1Kmも先にいる。しかもその敵の右手の中にある宝物を奪わなければいけないような状態です。)
創業期ならば、売上があがらないなら、それはシンプルに新規客がいないだけ。新規獲得のために思いつく施策をすべて実行していけばいいだけです。(※実際には販促戦略が必要です)しかし顧客が獲得でき事業のフェーズがかわってきたタイミングで、売上があがらなくなったら、原因は「新規客がいない」だけではありません。おそらく10個以上の要因があり、すべてが絡み合っています。自力で問題を解決することが難しくなった。そう感じたらすぐに実行するのではなくまず状況の整理をしてみてください。