事業をしていると「問題に対して手を打っているのに、さらに問題が増えてしまった」そんな経験をしたことがあるかもしれません。
【具体例】
・目前のタスク処理に追われ、忙しいのに成果が上がらない
・外注コストばかりが増加し、粗利率が低いままになってしまっている
・業務に関するノウハウが整理されておらず、属人的な業務が増加している
・人材を採用したが、クレームやトラブルが増加し、対応業務が増加している
・事業課題が不明瞭で、正しい施策を立てることができない
・新しいシステムやツールを導入したが、結局使いこなすことができていない
このような事態が発生している場合、業務改善が必要かもしれません。本記事では「業務改善とは具体的に何に取り組めばいいのか・業務改善コンサルティングは何をしてくれるのか・効果はでるのか」といった疑問点を解決していきます。
目次
業務改善とは?業務改善コンサルは何をしてくれるのか
まず、業務改善について簡単に説明します。業務改善とは、現在の業務の進め方を見直し、無駄やムラをなくしながら成果をあげていくことを指します。以下の図のように、業務を改善することは、効率化や生産性と関連性があり結果として収益に影響を及ぼします。また業務改善は、(特定の業界・業種・職種に限ったことではなく)仕事をしていく全ての人に必要なことと言えます。
- インプットをより少なくする=業務を効率化
- 業務の流れや進め方の無駄ムラをなくす=業務改善
- アウトプットの量や質をあげる=生産性UP
しかし、目の前にやるべきタスクを抱えながら、さらに業務を改善していくのは案外難しいものです。ただでさえ忙しいのに、その上業務を改善するための時間を確保するのは至難の技といえます。
そんな時に外部という立場で、業務改善をサポートするのが業務改善コンサルティングです。コンサルティング会社によっては、独自のノウハウを持っていたり、特定の業界に特化しているケースもあります。業務改善コンサルタントは「社内の経験則では太刀打ちができない・リソースが足りない・業務改善の適切なノウハウを持っていない」そんな企業やチームを支援する専門家です。
業務改善コンサルティングの流れ
次に専門家である業務コンサルタントは、どのようなアプローチをして解決していくのか詳しく見ていきましょう。業務改善コンサルティングは以下の流れで解決をしていきます。※アプローチや手法の違いはありますが、解決の流れは以下が基本になります。
解決のプロセスは以上の1〜5のSTEPになります。STEPを図にするとわかるように、各STEPごとの中でも、進める項目があります。
業務改善のプロセス
業務改善コンサルティングが必要なケース
業務における問題点は、実際に現場で仕事をしているメンバーが一番課題感を持っています。しかしメンバーが通常の業務を抱えながら、さらに業務改善をしてくのは負担が大きく挫折する可能性が高いと言えます。
以下の状態になっていたら、業務改善コンサルティングを検討する状態と言えます。
1)仕事が属人的
・業務がどのように遂行されているかがわからない
・業務に関するノウハウが整理されておらず、属人的な業務が増加している
・人材を採用したが、クレームやトラブルが増加し、対応業務が増加している
2)目の前の仕事をこなすことで手がいっぱい
・目前のタスク処理に追われ、忙しいのに成果が上がらない
・外注コストばかりが増加し、粗利率が低いままになってしまっている
3)対策をするが効果がイマイチ
・事業課題が不明瞭で、正しい施策を立てることができない
・業務効率化のために、新しいシステムやツールを導入したが、結局使いこなすことができていない
改めてご自身のチームを振り返ってみてください。上記に当てはまる場合は、時間をかけて業務を改善することを真剣に考える必要があります。
業務改善することで効果は出るのか
業務改善は、5つのSTEP(現状把握・課題抽出・解決策検討・実行・振り返り)で完了します。5つのSTEPをしっかり進めることができれば誰でも結果が出ます。しかし「目の前のタスクを進めていくこと・業務改善の一連のプロセスを実行すること」を、同一人物が同時並行で進めていくのはかなり難易度が高いと言えます。業務改善をしようと決めたら、まずは社内で進めていくべきか・外部に依頼した方がいいのか確認をしましょう。業務改善を社内メンバーのみで実施する場合と外部に依頼する場合では、それぞれメリットとデメリットがあります。以下の表を参考にチームの状態にあわせて効果がある方を選択してみましょう。
メリット | デメリット | |
社内 | 業務委託コストがかからない 改善ノウハウが社内に残る |
専門的な知見や知識が不足する 外部視点が欠如し根本原因の特定ができない 改善策のアイディアが出せない 忖度や社内調整に手間取り施策実行が進まない 業務改善に関わる社員の業務負荷が増加する |
外部 |
専門的な知見や知識をもとに的確な施策が実行できる
|
業務委託によるコストが発生する |
現状のメンバーの人数で、日々の業務量を余裕を持って捌ける状態であれば、社内で業務改善を進めてもいいかもしれません。コストを抑えたいという動機だけで社内で業務改善を進めてしまうと挫折しがちです。社内で業務改善をする場合は、一見コストが抑えられるように見えますが、社内メンバーの労働時間や本業への影響を考慮すると、費用対効果は下がる可能性もあります。また外部で業務改善を検討する際には、現場が逼迫してから慌てて検討するのではなく、事前に自社に合ったサービスを探しておく方がベターと言えます。
業務改善コンサルティングの選び方
業務改善を外部へ依頼する際は、自社にあった業務改善コンサルティング会社を選ぶことが成功を大きく左右します。とはいえ、自社にあった専門家を探すのは案外難しいものです。外部へ依頼する際は以下をチェックしてから、検討することをおすすめします。
チェックしておく5つのポイント
1:業界を理解しているか
自社業界を理解したコンサルティング会社を選ぶことが、まずはじめのポイントです。例えば製造業における業務改善が得意なコンサルティング会社が、アパレル小売業界の業務改善も得意というケースはほぼありません。
2:実績を確認する
コンサルティング会社のHPには、各社の導入実績が記載されています。実績では、クライアント規模や業種を必ず確認しておきましょう。自社と比較し、似たような事例があった場合は、成功の可能性が高いと言えます。しかし、実績はあくまで参考程度にしておくことをおすすめします。※自社と(コンサルティング会社のHPに記載されている)企業では、バックグラウンド(組織体制・業務内容・メンバー等)が異なるため、必ず同じ効果がでるとは限りません。
3:サポートスタイルを確認する
コンサルティング会社によって、現場への介入度合いが異なります。
コンサルティング会社が行うこと | 自社が行うこと |
課題特定と施策立案のみをサポート | 施策実行は自分たちで行う |
課題特定、施策立案、施策実行までをサポート | 業務改善ノウハウの蓄積は自分たちで行う |
課題特定、施策立案、施策実行、業務改善ノウハウを社内メンバーへ展開まで一貫してサポート | (改善完了までコンサルティング会社のサポートが入る) |
現場で施策を実行することが難しい場合は、ノウハウ展開まで一貫して行ってくれるコンサルティング会社を選択することをおすすめします。
4:報酬体系を確認する
業務改善コンサルティングの報酬は、各社により異なります。報酬体系は大きく固定報酬か成功報酬に分かれます。報酬金額は、プロジェクトの規模感により大きく左右されます。依頼する際は、単純な金額ではなく費用対効果を考え検討していきます。
5コンサルタントのスキルや相性を確認する
コンサルティング会社の実績やサポートスタイルが最適だとしても、担当するコンサルタントにより現場の経験値が異なることもあります。トップだけでなく、自社の業務改善担当者とコンサルタントを顔合わせした上で、コミュニケーションがスムーズに行えるかなどはチェックしておきましょう。
「業界、実績、サポートスタイル、報酬体系、担当コンサルタントとの相性」この5つを抑えて、相談をしておくことでスムーズに進めていくことができます。
業務コンサルティング成功のポイント
業務改善を成功させるには「悩みの原因となっている根本的な課題をしっかりと特定する
・課題に対して有効な解決策を実行する」この2点をしっかり行うことが重要です。
業務改善がうまくいかない理由は、能力が足りないわけではなく「現状課題を正しく把握できないまま直感を頼りに解決策をがむしゃらに実行する」というアプローチ方法にあります。
このようなアプローチでは、対応策の有効性や優位付けが行えず、より多くの労力や時 間をかけてしまうことに繋がってしまう
業務改善を成功させるためには、問題解決のアプローチを見直すことが重要です。はやく結果を出そうと中途半端に施策を実行するのではく、業務改善の5つのSTEP(現状把握・課題抽出・解決策検討・実行・振り返り)をひとつずつ丁寧に進めていくことが大事です。解決プロセスをひとつずつ進めることは、一見時間がかかるように思えても、結果的に効率よく成果を出すことができます。
業務改善が失敗するケース
「業務改善を社内で進める・外部に依頼する」どちらの場合でも以下のような状態になっている場合は、成功する可能性が低くなります。
1:業務が特定の作業者に集中する状態を黙認しがち
経験年数のある担当者に聞かないと業務内容がよくわかないというケースがあります。業務におけるノウハウや課題がブラックボックスのままだと第三者が介入して業務改善を行うことが難しくなります。
2:とにかく時間がない
外部に依頼しても、最終的には現場メンバーによって施策を実行する必要がでてきます。しかし通常の業務で手一杯だと、施策実行ができません。業務改善を進めていく際には、現場の納期や繁忙期を考慮しないと、途中で挫折してしまいます。
3:今までのやり方に固執する・やり方がわからないまま放置する
社内のみで業務改善を進めていく際に、業務改善すべき課題を特定できても、解決方法が見つからないというケースが多くあります。過去の経験則では対応できない場合もあるため、問題はわかっているのに放置せざるおえないということもあります。
4:心理的な抵抗に屈してしまう
外部から業務改善をする際に、特にネックになるのが心理的な抵抗感です。今までの業務のやり方を変えていくことには、少なからず抵抗を感じる関係者がいます。関係者が増えるほど、調整に時間がかかり施策の実行までたどり着かないというケースもあります。
5:ツールが合わない、使いこなせないまま放置する
業務改善を急ぐあまり、取り急ぎ新しいツールを導入して解決を図る場合があります。しかし、課題特定や施策を洗い出していないうちに、ツールだけ導入しても現場がつかいこなせず結局無駄になってしまうこともあります。
業務コンサルタントという専門家であっても、全てを魔法のように解決できるわけではありません。効果のある施策を導入しても現場が実行できなければ、成果は出ません。現場の協力体制をつくりながら、施策実行していきましょう。
業務改善コンサルを導入する流れ
業務改善を外部に依頼し進めていく際には、今回ご紹介した5STEPを念頭におき進めていきます。合わせて業務改善をスムーズにするために実際に施策実行していくまでの流れも押さておきましょう。
1:自社に合った業務コンサルを見つける
まずはじめに、業務改善コンサルティングの依頼先を検討していきます。現場が余裕がなくなる前に、比較検討し事前に準備しておきましょう。
以下の表のように、5つのポイントを簡易的にチェックしておくだけでも精度高く依頼先を見つけることができます。
<例>業務改善コンサルティングの選び方
業界 | 実績 | サポートスタイル | 報酬体系 | コンサルタント | |
チェックポイント | 自社の業界を熟知しているか | 似た事例はあるか(参考程度) | どこまでサポートしてくれるか |
固定か成果連動か |
相性・経験値・コミュニケーションスキル |
A社 | ◯ | △ | 戦略立案のみ |
固定:月額〜 |
△ |
B社 | ◯ | ◯ | 戦略立案のみ | 固定:年間〜 | ◯ |
C社 | ◯ | △ | 戦略立案 施策実行 ノウハウ展開 |
成果報酬: %〜 | ◯ |
D社 | ◯ | ◯ | 戦略立案 施策実行 ノウハウ展開 |
成果報酬: %〜 | △ |
2:依頼先候補に簡易相談をする
業務改善は、時間をかけて行うため担当コンサルタントとの相性も重要になります。ほとんどの業務改善コンサルティング会社では、個別での相談窓口が用意されています。相談窓口で行ってくれることは、「優良相談か/無料相談か、メールのみの相談か/担当コンサルタントとの相談か、サービスの説明のみ/個別での施策提案まで行ってくれる」と各社異なります。
3:施策提案
簡易相談の中で、実績や具体的な報酬なども確認しておきましょう。候補先を絞れない場合は、(依頼先候補各社から)具体的な施策を提示してもらうことで、絞り込むことができます。施策案と簡易的な見積もりを出してもらうことで、決定していきましょう。(※施策提案については、リサーチ等も発生するため、無料で対応するコンサルティング会社は稀です。)
4:スケジュールの確認
依頼先を決定したら、業務改善を開始する時期と完了する時期を決めていきます。業務改善は、現場の協力が不可欠になります。通常業務が忙しくなりがちな決算月や現場の繁忙期でのスタートは避けることをおすすめします。
5)現場やメンバーとの顔合わせ
いくら専門家だからと言っても、外部から知らない人間がいきなり入ってくることは抵抗感が必ずあります。業務改善をする際には、必ずコンサルタントとメンバーを事前に顔合わせをしておきましょう。そして導入の背景や意図を説明しておくことで協力体制をつくることが容易になります。
6:解決策の検討、施策実行
以降は、冒頭でお伝えした解決のプロセスにそって進めていきます。特に4と5を繰り返しながら解決まで進めていきます。
業務改善のプロセス
業務改善コンサルティングがしてくれること
日々の業務に時間を奪われ、優先順位が下がりがちな業務改善ですが、時間をかけて取り組むことでチームに安定的な成果をもたらしてくれます。メンバーの拡大や入れ替わり・事業の変化が起こる際は、今までの「業務の進め方」を見直すタイミングです。経験則や気合いだけでなく、ロジカルなアプローチも必要です。ご自身での業務改善に限界を感じたら外部コンサルタント導入の検討をおすすめします。右腕アウトソーンングがお届けするメールマガジンでは、業務改善の具体的アプローチやポイントもお届けしていますので参考にしてみてください。