自社の商品・サービスの魅力を将来の顧客に伝えるためには、欠かすことのできないものが営業資料です。
営業資料の持つサポート力を侮っていては、いつまで経っても成約率を高めることはできません。
そして、魅力的な営業資料の作成スキルは、是非とも身に付けておきたいビジネススキルの一つでもありますが、なかなか習う機会も少なく・・・一体どうすれば?というのが多くのビジネスパーソンが抱える悩みなのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、成約率を高める魅力的な営業資料の重要性とその作り方、ポイントをわかりやすくご説明していきたいと思います。
目次
魅力的な営業資料があると成約率が上がる理由
そもそもなぜ魅力的な営業資料があると成約率が上がるのでしょうか?
もちろん、プレゼン能力が高い方であれば、そのような資料がなくとも新規契約を持ち帰ることは容易でしょう。
しかし、全ての営業担当者がそのようなプレゼン能力を有しているという企業はごく稀といえます。
魅力的な営業資料があれば、そのプレゼンをサポートすることもできますし、営業担当の能力の差を埋めることが可能です。
さらにいえば、魅力的な営業資料があると、元より高いプレゼン能力を有している営業担当の成約率をもっと高めることもできます。
その他、魅力的な営業資料は、企業内で多くの決裁者の手に渡るものとなりますので、自社の商品・サービスに関する情報が簡潔にまとめられていて、決裁に必要な情報が含まれていれば、受注の可能性が高まることは間違いないでしょう。
営業資料に欠かせない基本概念とは?
魅力的な営業資料の重要性について理解したところで、本項からはそのような資料に欠かせない基本概念について考えていきましょう。
多くの商品・サービスなどは、常に顧客の抱えている課題を解決することを目的としています。
このような概念は、一般的に「課題解決」と呼ばれるものですが、魅力的な営業資料とは、課題解決後のイメージを将来の顧客(=見込み顧客)に対して、強く印象付ける構成となっていることが多いです。
そして、このような構成は、ある程度のテンプレートやフォーマットを持っているというのがポイントです。
魅力的な営業資料におけるテンプレートやフォーマットと呼ばれる・・・いわゆる基本型を理解できているかどうかが、このような資料を作成できるかどうかに大きく影響を及ぼします。
それでは、魅力的な営業資料の基本型とはどういったものなのでしょうか?
多くの魅力的な営業資料は、以下のような基本型で構成されています。
- 課題の提起
- 課題に対する解決策の提示
- 課題を解決できる自社サービスの紹介
- 導入事例とお客様の声・効果の紹介
- 顧客毎にカスタマイズした課題解決イメージの提示
- 費用・お見積もりの提示
また魅力的な営業資料には、上記の基本型以外にも、各ページにおけるメッセージやわかりやすいデザインのための工夫を有しているものが多いですが、本記事では資料の構成に着目してご説明を進めていきましょう。
それではここからは、先程の基本型の1〜6のポイントを順に追っていきます。
1|課題の提起
見込み顧客が抱える悩みや問題を「解決すべき課題」レベルまで落とし込むことができると、相手から「なるほど」「確かに」といった共感の感情を引き出すことができます。
どのようなビジネスパーソンであったとしても、あなたの話に耳を傾けてくれることでしょう。
でも、提案する相手が抱える悩みや問題を「解決すべき課題」レベルまで落とし込むとはどういうことなのでしょうか?
少し具体的に説明をしていきましょう。
そもそも問題って何?
ビジネスにおける問題とは、現在発生している観測可能な事実のことを指します。大小等は関係なく、企業にとってマイナスの影響を与えるものであれば、問題といえます。
当初予定していた開発スケジュールから大幅な遅延をしている
外注費が高く、利益が少ない
問題と課題の違いは?
ビジネスにおける課題とは、理想と現状の間に存在しているギャップを引き起こしている問題を解決可能なレベルまで落とし込んだ目標を指します。
問題と課題を似たようなものと認識してしまっている方もいますが、解決するための具体的なアクションを引き出せる状態になっているかどうかが、一つのポイントとなります。
業務上のミスを減らすためには、各工程における作業チェックシートが必要となる
開発スケジュールの遅れを取り戻すためには、初期リリース時の機能要件を見直す必要がある
外注費を抑えるためには、業務委託の範囲調整および委託先の再選定が必要となる
課題を定義できると相手からの共感を得られる
このように問題を引き起こしている原因を整理していくことで、課題が抽出することができます。
営業資料を見込み顧客に見せる際に、最初に課題の定義があると「何を解決しなければいけないのか?」「これから私はこの課題を解決するための話をします」といった相手との意識合わせができるため、相手の興味関心が営業担当者に向きやすく、課題に対する納得感が高いほど、相手からの共感も得やすくなります。
2|課題に対する解決策の提示
魅力的な提案資料は、課題を解決するために具体的な対策を明示する資料構成になっています。
課題を提示された時に見込み顧客は、「確かにその通りだ。・・・でも一体どうすればいいのか?」といったことを考え始めています。
そのため、このタイミングで具体的な解決策の提示が有効となるのです。
3|課題を解決できる自社サービスの紹介
ここで説明している資料は、営業資料としての位置付けとなりますので、もちろん自社サービスの売り込みが欠かせません。
具体的な解決策を実現できる自社サービスの存在を見込み顧客に伝えることも大切です。
データによる根拠があると有効
自社サービスを見込み顧客に伝える際には、できるだけ定量的なデータで、その有効性や根拠を伝えるべきです。
例えば、自社が見積・請求業務を効率化するようなSaaS系のサービスを提供しているとするならば、「一般企業を対象としたアンケート調査の結果では、見積・請求業務の1ヶ月あたりの平均稼働時間は24時間(3日)だが、当社サービスを導入することで8時間(1/3)まで削減することできる」といった具合です。
4|導入事例やお客様の声の紹介
ここまでの説明によって、見込み顧客は少し関心を向けてくれているはずですが、やはり「セールストークなのでは?」といった警戒心を抱いています。
そこで、自社サービスを第三者目線で紹介するような導入事例やお客様の声を伝えることが大切です。
5|顧客毎にカスタマイズした課題解決イメージの提示
見込み顧客は、常に「このサービスは自社(=顧客の会社)にフィットするかな?」といったことを考えながら、営業担当者の話を聞いているはずです。
そのような考えを後押しするように、サービス導入後の具体的な課題解決イメージを訴求することができると、見込み顧客から「うちの会社はこのような特殊なオペレーションがあるのだけど、それには対応できる?」といった質問を引き出すことができますので、結果的にサービス導入への懸念や不安を払拭することができます。
6|費用・お見積もりの提示
営業資料の最後には、必ず費用・お見積もりを入れるようにすることも基本です。
サービスについては理解してもらえたとしても、導入費用が不透明な状態のままでは、最終的な判断をしてもらうことはできません。
またその営業資料が魅力的であればあるほど、決裁者の手に渡る可能性が高まりますので、1ページだとしても非常に重要な役割を果たすことになるのです。
魅力的な営業資料を作り上げる4つのポイント
魅力的な営業資料の基本については、もうご理解いただけたと思いますので、ここからは実際に営業資料を作る時に意識すべきポイントについての説明をしていきたいと思います。
1|わかりやすいことが前提
営業資料を作る時に、まず第一に意識すべきは「わかりやすいこと」です。
わかりやすい資料とは、
話し手(=営業担当者)にとっては、何をどのような順番で説明していくべきなのかを資料で把握しながら伝えることができる
読み手(=見込み顧客)にとっては、資料を見ているだけで内容がスッと頭に入ってくる(話し手がいるとさらに理解しやすい)
といった効果をもたらす、ストーリーを持つ資料のことです。
また営業資料のよくある失敗例として、見込み顧客が判断できるようするために、必要以上に情報を盛り込んでしまうといったことがあります。
あまり情報量を多くしてしまうと、資料におけるストーリーが崩れてしまったり、余計な情報に目が向いてしまったりすることがありますので、注意が必要です。
それでも情報を盛り込みたい場合には、Appendixとしてまとめておく程度にすると良いでしょう。
2|営業資料の多角レビューが品質を上げる
新しく作成した営業資料の場合には、完成後に1日寝かせてからもう一度見直してみたり、自分自身で色々な角度からレビューをしてみることで、その完成度を高めることができます。
また可能であれば、第三者からの客観的に見てもらい、フィードバックを得ながら、その品質を高める努力が行えると良いでしょう。
3|営業資料はセールストークを支援するもの
営業資料は営業担当者のプレゼン能力の差を埋めながら、成約率を高めるために存在しています。
そのため、基本的には営業担当者にとって、資料が使いやすいか?セールストークの流れに沿っているか?話しながら感じる違和感はないか?等を確認しておくことが大切です。
定期的な振り返りや資料のアップデート等が行えると良いでしょう。
4|論理性とデザイン性がさらに成約率を高める
魅力的な営業資料とは、論理性(ロジカルであること)とデザイン性(注目すべき箇所がわかりやすいこと、1ページ毎のメッセージがはっきりしていること等)が高いという特徴があります。
「え?どういうこと?」と思った方は、まずはいずれかが欠けている状態をイメージしていただくことで、理解がしやすくなると思います。
例えば・・・
論理性が欠けている資料の場合には、そもそも提示している課題や解決策、その導入効果の妥当性が問われます。
デザイン性が欠けいる資料の場合には、何を見れば良いのかがわからない。何を伝えたいのかがわからない。
といったことが起こりやすくなってしまうのです。
テンプレートには頼らず、まずは自分の力で
本記事を読んでいただいたことで、魅力的な営業資料の必要性や作り方、そのポイントをご理解いただけたのではないでしょうか。
資料作りには、前述のような考え方が重要となります。
世の中には様々な資料のテンプレートやフォーマットが存在していますが、まずは自分の力で資料構成を考えてみるところから始めてみると良いでしょう。
それでも難しい場合は外注の検討を
ただし、単に資料を作るということではなく、”成約率を上げるための”というような目的を持った資料作成には、間違いなくスキルや経験が必要です。
そのような資料作成を行う場合には、専門業者への外注を検討してみるべきでしょう。