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経営者の仕事とは何か
リーダー
リーダー
こんな風に、自分の業務内容に疑問を感じている瞬間はないでしょうか。多くの経営者や事業主は、トップとしてやるべきことを経験則で身につけるしかなく「何をして、何をしてはいけないのか」を実務レベルで把握することは難しいと言えます。事業の拡大や持続性は、特定の人間に依存せずに人と組織を動かすことができるかがキーになります。組織と人材をマネジメントし、戦略を設計し実行していく。これが経営者のメイン業務と言えます。
経営者がマルチプレイヤー化するリスク
組織や人材のマネジメントをしていない場合は、経営者ではなく、スーパーマルチプレーヤーといえます。トップがプレイヤーを兼任することが悪いわけではありません。ただし、組織として経営を推進する人材がいない状態はとても危険です。一人で何役もこなすひとり社長状態から、脱することができなければ、事業の限界は早い段階で見えてきてしまいます。なお「ひとり社長状態」とは、戦略部門と実務部門が切り離されていない状態(プレイヤーを兼任し自身の稼働に依存する運営体制)を指します。このような運営体制の場合、トップが販促(媒体企画設計運用、セールス、営業活動など)を行いながら、プロダクト(サービス商品の企画設計開発)も見直しカスタマー対応(既存客の対応すべて)もする。さらに仕入れ(商品材料の仕入れ管理、知識のインプット)も対応しつバックオフィス(経理、備品の管理)も行う、といったことが常態化します。結果、目の前の業務に追われ、中長期的な視点に立った施策実行が難しくなります。
10人チームのマネジメント
経営者が注力すべきは、プレイヤーとしてなんでもできる人になることではなく目標に向けて人と組織を動かすこと、その仕組みをつくることです。つまりは、組織のマネジメントと人材のマネジメントが経営者のメイン業務といえます。
組織マネジメント:3つのポイント
10人チームが行う組織マネジメントは大きく3つになります。まずは戦略に合わせ組織構造を検討し決定(どういう組織構造にするのか)する。次に、組織構造に合わせた仕組みやルールを作る(各チームの目標や課題の定義)。最後に、組織文化を醸成していく(どんな倫理観でどんな人材を集め仲間意識を醸成するのか)。これが大きな流れになります。
人材マネジメント:3つのポイント
人材のマネジメントにおいては、人事の仕組みやルール(誰をどこに配置するのか、どんな人を採用しどんな人を採用しないのか、どう評価するのか、どんな報酬制度にするのか等)、育成の仕組みやルール(採用した人をどう育成するのか)を属人的なものから体系的なものに的あげていく必要があります。本記事では、経営者のメイン業務である組織マネジメントについて順を追って解説していきます。
組織マネジメント/STEP1.組織構造を決める
組織マネジメントの最初のステップは「どのような組織構造にするのか」を決めることです。組織がうまく機能するには、組織構造がキーになります。組織構造は、簡単にいうと「チーム(組織)配置図」です。どのような戦略を取るのかによって組織構造は変化します。※代表的なものとしてヒエラルキー組織(ビラミッド組織)・ホラクラシー組織・カンパニー制組織・マトリックス組織等がありますが、本記事では構造をわかりやすくつかんでもらうために以下3つの形で解説しています。組織規模と組織構造の代表的な形は以下になります。
組織構造:階層構造
組織の規模が100人以上の場合は、この階層構造をすることが多いです。以下の図のように組織を階層化し戦略部(CxO※)と業務執行部門(マネージャー以下)を切り分けていきます。なお、なお規模30人前後の場合は、事業部(領域特化CXO)はおかないケースがほとんどです。(図では、階層をわかりやすくするために単純化して記載しています。実際には複数の事業部が発生します。)
※CxOとは「Chief x Officer」の頭文字。Chiefは「長」、Officerは「役員・幹部」を表します。最高〇〇責任者の意味。xの部分はそれぞれ担当する業務を記載します。
Chief Executive Officer(CEO):最高「経営」責任者
Chief Operating Officer(COO):最高「執行」責任者
Chief Financial Officer(CFO):最高「財務」責任者
Chief Technical Officer(CTO):最高「技術」責任者
Chief Marketing Officer(CMO):最高「マーケティング」責任者
Chief Branding Officer(CBO):最高「ブランディング」責任者
Chief Design Officer(CDO):最高「デザイン」責任者
組織構造:トップマネジメント構造
10人以下チームの場合は、階層はなくトップマネジメントで運営しているチームも多くいます。しかしマネジメントの工数がかかるため、現実にはメンバー数5名程度が限界です。※マネジメントすべきメンバーが5名以上になった場合は、階層を設けていくことでスムーズに組織を運営することができます。
組織構造:プロジェクト構造
階層を設けず、プロジェクトごとにチームを組む方法です。ただし階層がなくプロジェクト単位で組織をつくりあげるには、メンバーが「専門スキル・経験値・自己マネジメントがしっかり確立している場合のみに成立します。
組織マネジメント/STEP2.組織図をつくる
自分達のチームにあった組織構造を決定したら、組織図を作成します。組織図をつくることで、各人が自分がどこに属しているのかを理解することができます。組織図を描く際には以下を明確にしておきましょう。
責任・権限・業務を明確に
肩書きや所属チームを共有しただけでは、経営者と当事者間でずれが生じやすくなります。組織図を描く際には、業務範囲・裁量範囲まで言語化しておくことをおすすめします。それぞれのポジションが具体的に何に責任を持つのか(責任の範囲)、何を決めることができるのか(権限の範囲)、具体的な業務は何か(業務の範囲=ジョブディスクリプション)をしっかり言語化しておきます。
組織マネジメント/STEP3.目標の推進
組織図を作成できたら、次は目標を推進するための仕組みづくりを進めていきます。組織図をつくり責任や権限を明確化しても、目標を推進しなければどんな夢も現実にはできません。目標を現実にするには、以下4点をおさえて運用していく必要があります。以下4つのポイントを確認し「日々の業務に忙殺され目標さえ忘れていた」ということがないようにしていきましょう。
ポイント1:目標を管理する
目標が設定できたら、各部門の目標を一覧化し進捗を把握できるようにしましょう。チームごとに異なるフォーマットで運用するのではなく、統一のフォーマットを作成し利用することをおすすめします。全部門の目標を意識する習慣をつけていくことが重要です。例:フォーマットは、複雑化せずに全チームの目標と進捗がシンプルに一覧化されていることが大事です。
ポイント2:施策の進捗を見える状態にする
次に、目標達成においてチームごとにどんな施策が行われているのかを把握します。ガントチャート等で「いつ・誰が・何をやるのか(やったのか)」が一覧になっていることで、無駄な確認や過度な干渉も発生しなくなります。なお、施策は必ず結果まで振り返りましょう。
ポイント3:ミーティングの質を高める
目標達成においてはスピーディーに施策を実行していくことが求められます。しっかりアウトプットできる会議を重ねることが大切です。限られた時間で成果につなげていくには、ミーティングの中で「課題点の把握・施策の洗い出し・スケジュールへの落とし込み」までしっかり言語化しておくことが重要です。習慣的にメンバーを集めて会議するのではなく、各チームごとにレジュメを決定しミーティングをコントロールしていきましょう。
ポイント4:ミーティングの開催頻度
施策の進行を確認するために、どのくらいの頻度でミーティングを開催すべきかを決定しておきます。(月1回でいいのか、週に1回必要なのか)タスクが多い場合や全社への影響が高い施策の場合は、高頻度で会議を行い認識をすり合わせていく必要があります。
組織運営ノウハウよりも大事なこと
STEP1〜STEP3をしっかり組織に根付かせることで、目標達成に向けて組織を動かすことが可能になります。経営者として組織をどうマネイジメントすればいいのかヒントにしてみてください。組織マネジメントにおいて知識や知見を広げることは確かに大事です。ですが、組織はひとりひとりの想いが積み重なってできた集合体です。今目の前にいるメンバーに向き合うことが、最も大事であることを忘れないようにしてください。